ナツコ
台風接近中。朝からしっかりと雨が降っている。
テニスもないので外出しようと思ったが、思いのほか雨脚が強く、その意欲も萎えた。
「沖縄」に反応して買ったものだが、コレがなかなか面白い。
時代は太平洋戦争直後の混乱期の沖縄である。
沖縄と言うと、古くは琉球王朝時代から昭和に至るまで、“大和”に支配、差別されてきた歴史がある・・・と思っていたが、いやもちろんその史実は消えないのだが、そんな中で民衆が常に虐げられ、苦しい悲惨な歴史ばかりを刻んできたのかと言うと、決してそればかりではないということをこの作品は教えてくれる。
終戦直後の、貨幣は愚か物資の流通まで厳しく統制されていた時代、少なくとも“表向き”は統制経済だった時代に、逞しくしたたかに疾走した一人の女性の物語だ。
「密貿易」というと、法を犯した貿易と言う意味に加え私腹を肥やすイメージがあるが、主人公であるナツコは、利益を分配し、人を育て、周囲に生きる力を与えていた点で、「義賊」の様相を呈しているのだ。
占領政策から明らかに置き去りにされた沖縄で、混乱をものともせず、むしろそれを逆手にとって、国家や法、米軍を向こうに回し、一時代を築いて駆け抜けたその生き様は実に痛快だ。
そんな彼女でありながら、その記録はほとんど残っていない。
当時を知る数少ない存命中の人々から丹念に取材し、彼女の生い立ちから38歳と言う若さでこの世を去るまでを見事に再現したこの作品は、もう一つの沖縄の歴史、裏の歴史書としても非常に興味深い。
一読の価値あり
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